12月定例研修会報告

 

【日   時】 2020124日(金)19:0021:00

【テ ー マ】 かかわり論を学ぶ ~対話からアセスメントまで~

【講   師】 谷本 和也氏(大西精神衛生研究所 若葉)

【参加者数】 19

 

 新人フォローアップ研修3回目の今回は、大西精神衛生研究所 若葉の谷本氏よりご講話をいただいた。

 若葉は2006年に生活訓練施設として開設、その後2012年にグループホームに移行した施設である。谷本氏は入職後まもなくより若葉で支援員として働かれ、グループホーム移行後から現在に至るまで、サービス管理責任者として従事されている。ご講話は、新人だった頃のかかわり、その後学んできたこと、考えてきたことへと進み、終盤は事例を用いた個人ワークの時間も設けられた。

 まず、新人だった頃のかかわりについて。若葉は、長期入院者の退院先及び社会復帰を図る場として開設された。そして、これまで入院による療養生活に不満を募らせていた入居者方からは、若葉での自由な生活を可能な限り続けたいという声があった。その思いを受けとめる一方で、利用期限である原則2年以内の社会復帰、それへのプレッシャーも大きく感じていたそうだ。施設の目的に添った支援のあり方の模索や、訓練の計画的なマニュアル化、実施、分析、評価。それらを基盤に地域での安定した生活を目標に掲げた支援は、リスクマネジメント基盤とした管理的な支援の展開に繋がっていったそうだ。そして、入職5年目に協会役員に就任、以後8年にわたり活動を継続。当時の協会が倫理問題を抱えていたこと、実践の方でも自身の支援のあり方についての葛藤を感じていたことから、PSWとしての視点や、その立場で施設に勤務する意味、専門性について、より考え始めることになる。

これよりは、その後学んできたこと、考えてきたことをベースに、PSWのかかわり論(対話からアセスメントまで)を、①対等性 ②対話 ③生活者の視点 ④ストレングスの視点 ⑤クライエントの主体性と信じる力 ⑥アセスメントのまとめ① の項目に沿って話をすすめられ、休憩をはさんだのち、⑦最後に-事例でおさらい(まとめ②)で個人ワークに入った。

谷本氏の語るかかわり論は、実践のなかで抱いてこられた様々な思いに満ちた内容であった。クライエントとの対等性を謳うとき、クライエントとは出会ったときからすでに力の関係性が働いているという自覚があるか。日々の対話を、“意味のある雑談”として捉えて深めているか。個別性を重視したアセスメントのもと、“一人の生活者”として関心をもち、理解に努めることができているか。そのうえで必要な働きかけを社会や組織にできているかなど。項目ごとに、細部にわたり思いを巡らせ熟考されている様子がうかがえた。

また、個人ワークでは、「大阪への旅行を希望していたAさんに対し、リスクばかりを考えてしまっていた谷本氏」が事例のテーマとして挙げられ、一人のクライエントが語る希望をどう受け止めたか、その理由について考える時間が設けられた。参加者数名からの意見を拝聴した後、谷本氏自身も、当時の対応を語られた。個別支援を意識しているといいながらも、無理だと感じたり、本人に無い不安を感じたりしていた。そして最終的には、職員としての責任から、本人の思いではなく組織を意識するようになったという谷本氏。その時、不安のおしつけ、決めつけだとかなり怒られたおかげで、本人の言葉を素直に受け入れられるようになった。これは以前の自分にはできなかったことだったと振り返られた。

 講話を受けた参加者らからは共感が多数寄せられた。また、各々所属する組織での、価値・倫理を意識したかかわり、それを展開することの難しさやジレンマについても語られていた。最後に谷本氏が感想のなかで、かかわりのプロセスをチェーンでつながっていくイメージに例えられたこともまた、印象的であったので、ここに留めおきたい。

 「講話の内容を考えるにあたり、各項目の重なりを感じた。これでいいのか悩み、わけて考えるべきかとも思ったが、よくよく考えたらかかわりのプロセスはわけられるものではなく、チェーンでつながっていくイメージで、ひとつひとつ、切っても切り離せないものなのだと気づいた。形も様々変化していく。簡単に壊れたり、ゆがんだりするものにもなりうる。だからこそ、関係性を緻密に丁寧に重ね、そう簡単には切れないかかわりにしていくことが大切なのだと思う。」

クライエントとのかかわりは、新人であればこれから耕していくところであり、実践者を重ねてきている者であるなら、再考を重ねながら耕しつづけていくべき土壌である。本研修では、原点回帰の必要性について、それぞれの立場から感じることができたのではないだろうか。最後に谷本氏の言葉を借りて…仲間と実践を振り返る機会を大切にしていきたい。            

 

 

                    報告 武川 咲子(まんのう町教育委員会)

 

PSWの名称は現在MHSWに変更になっている。ここでは講師の用いた名称で表記している。