2月定例研修会報告

 

 

 

日時:201921日(金)19002100

 

場所:高松市総合福祉会館5階 第2会議室

 

テーマ:子どもを対象にしたソーシャルワークの実践

 

講師:齋藤 絵梨 氏(四国こどもとおとなの医療センター)

 

参加者:32

 

 

 

〇研修報告

 

 精神保健福祉士の実践領域は多岐に渡っている。子どもを対象にしたソーシャルワークの実践は、法制度の側面や中心となる関係機関の違いなどから、実務の中で直接子どもとかかわることは少なく、児童分野に対する理解は乏しい。そこで今回は、齋藤氏を講師に迎え、実践報告から子どものソーシャルワーク領域の理解を深め、今後の支援のあり方や連携についてグループワークを行った。また、今回の研修では、香川スクールソーシャルワーカー協会員へも声かけを行い参加があった。

 

 始めに、齋藤氏から所属部署の実践報告が行われた。児童精神科入院児は、中学生が多く、女児が6割以上を占めている。近年の特徴としては、入院患者の低年齢化が目立ち、発達障害や摂食障害、強迫性障害等が増加傾向にある。また、入院児の中には虐待併存のケースも含み、育てにくさが虐待につながると齋藤氏は話す。児童精神科領域の課題として、子どもを取り巻く社会的環境の変化や病床削減により、服薬調整や一時保護委託の入院が増え、治療が不完全のまま児童養護施設等に任せるケースが増えている。その中でも、齋藤氏が感じている課題として、①地域のリソースの少なさ、②支援者の変更に伴う途切れやすい支援が挙げられた。現状として、家族機能の脆弱に伴う療育者の孤立や義務教育終了後の子どもの居場所・支援の少なさがあり、思春期の家族会や当事者会はほとんどない。また、児童精神科入院児の支援者の中には、教師や行政担当者等が中心的にかかわることもあるが、数年単位で配置換えや転任となり、支援者が不在のまま孤立化しやすいと齋藤氏は話す。

 

また、職種としての葛藤やジレンマを抱えることもあるが、子どもや多職種と共に取り組んできたこととして、病棟独自の活動や関係者が同じ方向を向いて支援できるよう「多職種共同サポートブック」の紹介が行われた。齋藤氏は「ちゃんと知る、ちゃんと伝える、ちゃんと繋げる」ことがPSWとして大切にしていることと挙げている。齋藤氏は、子どもを取り巻く環境や家族背景を知り、PSWの視点で感じていることを関係者に伝え、生活や環境がどんどん変化していくからこそ、本人の生活に関する支援が途切れないように繋げることが必要であると話す。また、曖昧な状態のままにするのではなく、自身が得た情報をちゃんと伝えることで支援に繋いでいけると齋藤氏は話す。

 

 後半では、齋藤氏の実践報告を受けグループに分かれて共有を行い、実践の中で見えてきた子どものソーシャルワーク領域の課題について検討を行った。また、グループから出た質問に対して、齋藤氏との質疑応答の時間もあった。

 

 今回の研修では、多岐にわたる福祉分野から実務ではかかわることが少ない児童精神分野の現状を知ることができ、スクールソーシャルワーカーの方と協議する機会を持てたりと有意義な時間となった。

 

児童虐待など子どもを取り巻く環境の変化が注目されている。しかし、PSWとしてどのようにアプローチしていくかが今後の課題である。まずは、研修会への参加や考える仲間を増やしていくことで顔の見える関係ができ、話し合える関係を構築することができる。子どもの支援はもちろん、どの福祉分野の支援においても、関係者が本人の生活を一緒に考えて支援していくことが大切である。そのためにも、本人やその環境を“ちゃんと”知ることが必要ではないだろうか。

 

報告  藤井 志帆  (三愛会共同生活援助事業所)