12月定例研修会報告

 

【日時】2021123日(金)19:0021:00

【テーマ】考えを深めるためのファシリテーター研修

【講師】一般社団法人ソラティオ 岡部 正文氏

【参加者数】23

 

  研修報告

 今回の研修では、一般社団法人ソラティオ岡部正文氏をお迎えし、ファシリテーションを学んだ。

 日頃行っている会議で、困った症状が発生していないだろうか。例えば、参加者の反応が悪く、活気がなかったり、大幅に時間を超過していて、その上中途半端なところで終わるなど、起こりがちなことである。この理由として、「いい意見を言わなければいけない」という緊張感だったり、会議を構造的に捉えることが出来ていないと岡部氏は話す。会議を構造的に捉え、流れを作り、ファシリテーターの役割を理解することが大切とのことであった。

 会議の構造には二段階あり、『見立ての段階』と『手だての段階』がある。まず、見立ての段階では、参加者の見立てを共有していくことに目的がある。同じ見立てを持てないならば、手だては全く違うものになってくる。また、様々な意見が出てくる中で、ファシリテーターは違和感・引っ掛かりをそのままにしないことが重要だと岡部氏は話す。そこを深掘りしていくことで場が活性化し、参加者の意見を発散させることができる。発散させた後には、見立ての合意と共有が必要となる。

 見立ての共有ができれば、次に手だてを検討していく。参加者にアイディアを出してもらうが、「誰が、いつ行うのか」までを検討する。タイムスケジュールまで確認することが出来て会議終了となる。

ファシリテーターの役割としては、岡部氏は「黒子的役割である」と例えた。参加者が意見を発散しやすくするための場づくりや、時間の管理、意見の整理など行っていくが、見立てや手だての決定においては、ファシリテーターが決めるのではなく、発題者や参加者が決めることが重要とのこと。ここでファシリテーターが決めてしまうことで、参加者の主体性を剝奪することとなる。参加者が決めることで、自分事として捉えてもらい、主体的に会議に参加してもらうことができる。場づくりとしては、会議が活性化するには参加者が心理的安全性を確保すること。そのために自己認識・自己開示・自己表現ができる場であることが条件だという。また、会議の流れを作るのもファシリテーターの役割である。意見の発散をし、その意見を見える化(ホワイトボードなどに書く)し、要点をまとめ、収束へと向かう。この流れを作ることで会議の進行がスムーズになる。

岡部氏は、最後に、ファシリテーターの役割として最も重要なのが、意見の発散がおこなわれることであるが、そのためにファシリテーターは対人関係スキルが必要で、対人関係スキルとは、『尊敬』である。技術よりも、参加者に敬意を払い、ご本人さんの可能性を信じ切る、心持ちの方が大切であると話された。

その後、実際の事例を用いて模擬的に会議を行った。意見は発散され、見える化され、その中で発題者の気付きも出てきた。実際に行うことで、会議を構造的に捉えること、活性化させる技術、流れを作る技術がどういうことなのかを捉えやすかった。

ファシリテーター=難しいと思ってしまうが、岡部氏の研修を受けて、会議とは、ファシリテーターとは何なのかというところが整理され、難しく考える必要はなく、参加者を尊敬し、信じてその力を借りて流れを作ることで行うことができるのだと知る機会となった。

 

報告 大杉 真央(大西病院)

 

 

●参加者感想

 2021123日に開催された『考えを深めるためのファシリテーター研修』に参加しました。研修では講義を視聴した後に講師のファシリテートによる模擬ケア会議を実際に体験しました。模擬ケア会議ではファシリテーターの参加者への言葉掛けや促し方、そのタイミングを意識して学び、全参加者に分かりやすく言い換えていることに気付くことができました。また、ホワイトボードアプリを使用しての模擬ケア会議はとても分かりやすくスムーズでリモートでの研修に有効であることを知りました。日々の業務のなかで会議をまとめる立場になることが多い職種に就いているにもかかわらず会議を苦手としている私にとって今回の研修はとても有意義なものになりました。ファシリテーションのスキルを少しでも身に付けていけるように職場や家庭でも意識して取り組んでいきたいと考えています。

 

障害者地域生活支援センターほっと 福本 美也子

 

 

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