2月定例研修会報告

【日時】202224() 19:3021:30

【テーマ】倫理に関する研修「私たちが大切にしていること」~クライエントの価値の尊重~

【講師】高松市障がい者基幹相談支援センター 城 真季氏、研修部

【参加人数】13

 

●研修報告

 今回の研修では、神出病院における集団虐待事件とガイドラインのクライエントの価値の尊重の事例を用いて、その後グループワークにて日々のかかわりの振り返りや同様の事件や事例を目の前にした時、精神保健福祉士としてどう対応したいか等を共有した。かかわりについて振り返り、自己点検をする貴重な時間となった。

 最初に高松市障がい者基幹相談支援センター 城氏より、神出病院における集団暴行事件についてお話ししていただいた。事件の概要としては、20203月神戸市にある神出病院に入院している重度の精神疾患をもつ患者7名(50代~70代)に対し、看護師及び看護補助6名(27歳~42歳)が1年間のうち10件の虐待行為に及んだものであり、監禁及び暴行・準強制わいせつ罪の疑いで逮捕された事件である。病院の床や別の患者の体に塗ったジャムのようなものをなめさせる、裸でトイレに座らせホースやバケツで水をかけるなどの虐待行為を動画に撮りグループラインで共有していた。今回の虐待事件は、加害者の1人が別のわいせつ事件で逮捕された捜査の過程で発覚した。病院の入院形態としても、医療保護入院が70%以上そのうち40%が認知症の方が入院しており職員一人一人の負担が増えている状態だった事、加害者の看護師等が入職した頃より虐待は日常的でストレスのはけ口になっており、虐待して一人前という曲がった常識が刷り込まれていきエスカレートしていた。

 次に、研修部よりガイドラインのクライエントの価値の尊重についての事例をお話ししていただいた。グループホームで食事をしていた利用者が味噌汁をこぼし、その様子を見ていた先輩ワーカーが頭を叩き、こぼした味噌汁をお椀に入れて利用者の前に置き笑う場面を見て後輩ワーカーが虐待ではないか悩んでいた。それについて同僚スタッフに相談すると同僚スタッフも先輩ワーカーの対応に疑問を持っているが見て見ぬふりをしているという事例だった。

 その後、グループワークを行い神出病院の事件や事例についての感想や日々の自分自身や職場のスタッフの言動や態度について話し合った。虐待をしているという認識がない恐ろしさや動画を撮りグループラインで共有する事は理解出来ない事、当事者や虐待を受けた家族の気持ちを考えると憤り等を感じる等の意見が出た。また、入院や施設入所などが長期になるにつれ、あだ名や○○ちゃんなどで呼ぶことについても考えていかなければならない事や、第三者の目は必要という意見も出た。その後、もし神出病院の事件が起きる前に自分自身が神出病院の精神保健福祉士として働いていたらどうしていたかというテーマで話し合った。実際にそこで働く職員の立場に立って考えると、当事者の権利を擁護したい精神保健福祉士としての想いと、波風を立たせない方が良いのではないかという一職員としての想いの狭間で葛藤がある事や、加害者が居なくなってから患者さんの話を聴き、そこから考える、すぐに辞める等の意見が出た。

 今回の研修を受けて、自分の大切な人(家族や友人など)と同様に当事者に対しても1人の人として誠実に接する事、日々の自分自身や周りの環境で虐待が起きてないかアンテナを張っておく必要がある事や、かかわりを振り返り精神保健福祉士としての倫理観について点検をする重要性を再確認した。また、倫理観に反する事に気づいた場合は仲間を作り行動していく大切さを共有した。

だんしエコ作業所   濱田 彩香

 

 

 

●感想

 令和424日、倫理ガイドラインに関する研修を受けた。20203月に発覚した神出病院職員の集団虐待暴行事件に関する情報を共有し、グループワークを行った。

 長期入院や施設入所は職員が親近感を抱くのか、あだ名で呼ぶ場面を見聞きする。だが、もしかしたらこのような身近なことからのスタートだったのではないか。現に経験が長くとも、〇〇さんと名前で呼び敬意を持って対応している看護師もいる。このような管理職が身近にいたら、新人も次第にエスカレートしてといった行動には至らなかったのではないか等話し合った。

 自分の大切な家族だったとしたら、その態度、その言葉使いはするだろうかと考え行動し、専門職である前に一人の人間であることを意識したいと思えた研修だった。

 

 

高松保護観察所   阿部 佳子

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