令和3年度新人フォローアップ研修会報告

 

 

【日 時】 202193日(金) 19002100

【テーマ】 モヤモヤからワクワクへ~MHSWの自分が好き~

【講 師】 片岡 克寿氏(グループホーム若葉)

石河 純子氏(図子メンタルクリニック)

【参加者数】12

 

●研修報告

 私たちMHSWは日々葛藤しながら、成長しMHSWとしてあり続けることが出来る。しかし、葛藤することで疲弊することや自己嫌悪に陥る事もある。特に新人の頃は自信のなさや新人特有の悩み、葛藤があり自己否定や自己嫌悪に陥りやすい。そういった経験をしてきた中堅MHSWがどのような葛藤を抱き、乗り越え現在のMHSWがあるのかインタビュー形式で経験談を話していただいた。

 

 最初に、齋中会長より「良き友」、「良き書」、「良き師」の3つの出会いが大切であること、1番は自分自身が「こういうMHSWになりたい」、「~したい」という思いを持ち、同じ志を持っている仲間に発信していく事が大事というお話をいただいた。

 そして、MHSWとして大西病院で3年、グループホームで7年、勤務している片岡さんより、お話をいただいた。現在MHSWとして10年目。今のMHSWとしての自分を振り返って、以前は「嫌われたらどうしよう」と受け身だったという。しかし現在は、経験を踏んで失敗を恐れなくなり、どう関係性を築いていこうか、どう支援していこうか考えることが楽しい。また、信頼関係が築けたと実感が出来るなど、MHSWとしての基盤ができ始めたと思う。グループホームでは、MHSWとしての考え方と他の職員との考え方が違い悩むことがあるが、流されずに自分の意志を持って支援している。

新人の頃は、自信がなく人の顔色を伺っており、だめなMHSWと烙印を押されるのが怖く、思い悩み仕事を辞めようと思ったこともあった。MHSWとして働く楽しさが分からなかった。乗り越えられたきっかけは、研修やグループスーパービジョンに参加するようになり、自分の実践を振り返る事で、自分のかかわりを客観視でき、視野が広くなった。また、年金請求のケースで年金が通る事が難しいと言われていたが、本人が申請したい気持ちを尊重し一緒に動いた結果年金が通り、一緒に喜びを分かち合えた事が嬉しかった。

新人MHSWに伝えたいことは、最初は自信がなくて当たり前。葛藤や失敗をしながら仲間を作り、自信をつけて欲しい。また、本人や多職種、他機関、横のつながりと関係性を築き、多くのネットワークを作っていって欲しいとお話いただいた。

 次に、介護職員として11年、MHSWとして図子メンタルクリニックで9年、勤務している石河さんにお話をいただいた。今のMHSWとしての自分を振り返って、最初は自信がなく医者の言う通りにしていた。現在は自分がクライエントと話をし、その人の思いを受け止め、MHSWとしての考えも相手に伝えられるようになり、医者にも意見が言えるようになった。自分の対応に自信がもてるようになった。

 新人の頃は、前職場が特別養護老人ホームだった事もあり、奉仕の気持ちが大きく、「その人が幸せな生活を送れるように、自分がどうにかしてあげなければ」という思いが強かった。自分の気持ちを押し付けてクライエントの持っている力を見出そうとしていなかった。自分の思い通りにクライエントが動いてくれないとイライラし、自分自身MHSWとしての実力のなさにもイライラしていた。乗り越えられたきっかけは、MHSWが同職場におらず、無知な自分に不安だった為、無我夢中で研修に参加したり、グループスーパーバイズに参加したりする事で仲間がいる安心感を得て、一人職場でも孤独ではなかった。「こうしなければならない」という自分の偏った考え方からクライエントの状況等に身を置き考え、「こうしなければ」という考え方から解放された。また、ひとり親の女性のケースを通して、その人の人生はその人自身が考え、決断に寄り添うことの大事さを知った。

 新人MHSWに伝えたい事は、MHSWである前に自分自身の気持ちを大事にして欲しい。自分自身がいっぱいいっぱいの時は無理に頑張らず、立ち止って考える時間も必要。研修会に参加する事は勇気がいる事かもしれないが、仲間が居ると自信になる事や自分の思いを誰かに聞いてもらう事で気持ちの整理ができ、人に吐き出すことも重要ではないかと思うとお話いただいた。

 

その後、各グループに分かれ、「モヤモヤした経験や現在モヤモヤしている事」を語り合い、「どのようなMHSWでありたいか」を共有し翌日より前向きな気持ちで働くことが出来る有意義な時間でグループワークを終える事が出来た。

 

 誰もが、経験する新人としての葛藤や悩み、自信のなさはあるが研修やグループスーパーバイズを通して仲間が出来たり自分自身のかかわりを振り返る機会が出来たりする事で、MHSWとしての価値・倫理が形成されていく。また、実践の中で、本人の思いを尊重し寄り添いながらかかわる事で、MHSWとしての自信や喜びが積み上がりMHSWとしての成長ややりがいとなる。

 

 

報告    濱田 彩香(だんしエコ作業所)